スタッフブログ
Staff blog院長コラム①
院長コラム①
院長として勤務し、一年以上が経過しました。日々、皆様がよりお元気で過ごせますようにと願いながら、努力しております。
そのような中で、改めて、当院で行っている透析療法というものについて、お伝えしたいと考えました。これから数回にわたり、いくつかの事柄について、書いていきたいと思います。どうぞ宜しくお願いいたします。
透析とは?
クリニックに通っている皆様は、色々な理由で腎臓の働きが低下し、命に関わる状態となり、血液透析療法を受けておられます。
そこで、今回は、腎臓の働きと、血液透析で行っていることや行えないことをご説明します。
1.腎臓の働き
(1)尿を作る:体にたまった老廃物や、過剰な水分・塩分(ミネラル)を血液からろ過して、一日に1~2リットルの尿として排泄することにより、体液量・電解質・酸塩基平衡を調節しています。水分を摂取すると尿量が増え、塩分摂取が多いと塩分濃度の高い尿を排泄します。
(2)血圧を調節する:余分な塩分・水分を尿として排泄し、血圧を調節しています。また、血圧を調節するホルモン(レニン)を分泌しています。
(3)血液(赤血球)を作る:腎臓はエリスロポエチンというホルモンを生産します。このホルモンは、骨髄に働きかけ、赤血球の働きを促します。
(4)骨を作る:腎臓は骨とミネラル(カルシウム、リン)代謝の要の臓器です。ミネラル代謝に深くかかわる物質である、ビタミンDの活性化も腎臓で行われます。腎臓におけるミネラル代謝には、副甲状腺ホルモン、活性型ビタミンDなどが複雑にかかわり合っています。
(5)腎機能が低下し、末期腎不全の状態に至ると、全身倦怠感や息苦しさ、食欲低下、吐き気などの尿毒症症状が強くなります。全身のむくみや、肺にも水がたまるため、咳が出たり、息切れがします。出血傾向や心不全も起こします。薬物療法や食事療法で症状の改善が認められない場合、腎代替療法が必要になります。腎代替療法には透析療法(血液、腹膜)と腎移植があります。
2.血液透析療法の概略
血液透析療法は、1.で述べた腎臓の働きを部分的に補う治療法です。概略としては、ダイアライザー(透析膜ともいう、中空糸が束ねられている)に血液が流入し、透析液が中空糸の周囲を流れることにより、血液透析が行われます。「尿毒素をある程度取り除く」、「過剰な水分を取り除く」、「カルシウムやリン、ナトリウムなどの電解質を調整する」、「血液の酸塩基平衡を調整する」などの働きにより、血液をきれいに調整します。
除去されるもの:水分、老廃物(尿素窒素、クレアチニン、尿酸)、カリウム
調整されるもの:ナトリウム、カルシウム、グルコース
補充するもの:重炭酸イオン
透析膜を通さないもの:赤血球、白血球、タンパク質など
透析では補えない腎臓の働き:ビタミンD活性化、エリスロポエチン生産 (これらは、薬物治療で補います)
3.今回のまとめ
血液透析療法で、腎臓の働きを部分的に補うことができ、末期腎不全の方々の生命を保つことができます。週に2~3回、3~5時間の治療を継続することが必要です。